ウィーン・フィルハーモニー管弦楽団
第二次大戦後に毎年開催されすでに伝統となっているニューイヤー・コンサートは、楽友協会大ホールを舞台としています。シュトラウス一家と同時代の作曲家による流麗なメロディーをプログラムとする元旦のコンサートは、新年に欠かせない音楽イベントとなっています。現場でライブを聴きたいという方々は幸運が必要です。ウィーン・フィルのウエブサイトで申し込み、抽選に当たらなければならないからです。他方、世界90ヵ国のテレビの前では、数百万人の音楽ファンが無料でニューイヤー・コンサートを楽しみます。
これと全く違うのは、ウィーン・フィルが登場する第二の大型イベントです。サマーナイト・コンサートは、シェーンブルン宮殿庭園で開催される入場無料のオープエア・コンサートで、毎年55,000人の音楽ファンが集まります。
ウィーン・フィルは1842年、オットー・ニコライによって創設されました。このオーケストラでは、クラリネット、ファゴットなど、他のオーケストラでは使われない特別な楽器が演奏されます。とりわけウィンナー・ホルンは演奏が難しいことで知られます。これに流麗な弦楽器が加わり、ウィーン・フィルならではのソフトな音響が生まれ、人々を魅了し続けているのです。
リヒャルト・ワーグナーは、世界で最も卓越したオーケストラのひとつと評し、ヨハンネス・ブラームスは自らを「ウィーン・フィルの友であり崇拝者」と呼んでいます。グスタフ・マーラーは「芸術という絆」でウィーン・フィルと結ばれていると感じていました。リヒャルト・シュトラウスは端的に「ウィーン・フィルの素晴らしさは、改めて賞賛するまでもない」と表現しています。
更に注目すべきは、ウィーン・フィルと国立歌劇場オーケストラの関係です。歌劇場オーケストラで3年間演奏して初めて、ウィーン・フィルへの採用を申請することができます。逆にウィーン・フィルの団員は全て、歌劇場オーケストラで演奏します。
ウィーン・フィル・ミュージアム
音楽の家の一階にはウィーン・フィル・ミュージアムがあります。これは、オーケストラの創設者オットー・ニコライの住居だったものです。
「コンサートホール」のコーナーでは、ニューイヤーコンサートとサマーナイト・コンサートのハイライトが紹介されています。歴史的な鏡の間には、演奏旅行や顕彰、ウィーン・フィル舞踏会のドキュメントに加え、著名指揮者のタクトなど様々な歴史的展示品が並んでいます。音楽家がオーケストラの日常生活や貴重なエピソードを語り、見学者はワルツ・サイコロを使って、独自のウィンナーワルツを作曲できます。
「ニコライ・ルーム」には特に貴重な品々が展示され、その中には、ウィーン・フィルの創立宣言、最初のコンサート(1842年3月28日)のプログラム、オーケストラを撮った最初の写真(1864年)などが見られます。