オーストリア郵便貯金会館
リング通り沿いにある郵便貯金会館は、ウィーン・モダニズムの代名詞ともいえる建物のひとつです。建築家オットー・ワーグナーはウィーンの景観を作った立役者であり、郵便貯金会館はワーグナーの作品の中で最も近代的で重要な建物です。
当時一般的だった建築様式、例えば向かい側にある当時の陸軍省と比べれば、ワーグナーのスタイルが一貫してモダンで機能的なことは一目瞭然です。外壁には、天候の変化に強い花崗岩と大理石のプレートが用いられ、手すりや屋根の装飾、ドアの金具や暖房用の通気管には錆びないアルミニウム部品が建物内外に使われています。これは、当時としては目新しい建材でした。細部まで美しいインテリアもワーグナーがデザインしました。
当時のままの姿を残す窓口ホールの建築も見どころのひとつです。再び一般に公開されています。2022年にはウィーン応用美術大学の一部機能がこの郵便貯金会館に移転しました。それに伴い、窓口ホールに展示室とカフェが設けられ、訪れる人はそこでユニークな雰囲気を味わうことができるようになりました。